【話題の本】『あねチャリ』川西蘭著(産経新聞)

 ■努力と公平さ 自転車競技の醍醐味描く

 女性競輪選手を描いた小説は日本初という。一見、無謀なテーマ設定と思うかもしれないが、奇(く)しくも昨年、JKA(旧日本自転車振興会)が、来年度にも「女子競輪」を開催すると発表した。著者がこの事実を知ったのは執筆後で、いつの世も創作は時代を先取りしている。

 主人公、早坂凛は16歳の女子高校生。バレーボール部員だが、今は引きこもりだ。運動不足解消にママチャリ(ミニサイクル)に乗っていたが、元競輪選手の瀧口に出会うことでロードレーサーの魅力を知り、やがてピストバイクで競輪場のバンクを走るようになる。目標は競輪選手だが、まだ、日本に女子競輪はない。それでも凛はあきらめなかった…。

 近年、競技用のロードレーサーをテーマにした自転車小説や自転車漫画が人気を集めている。ようやく日本にも本格的な自転車文化が浸透してきたと実感させられる。が、いくら環境や状況が整っても自転車競技自体に魅力がなければ、人の心をつかみ、揺さぶり続けることはできない。ではその魅力はどこにあるのか。

 一つの理由に“公平さ”が挙げられるかもしれない。例えばプロ野球やサッカーは生まれ持った素質が大きく影響し、身体能力の高いフィジカル・エリートしか通用しないという不公平さを感じさせるスポーツだ。これに比べ、自転車競技は素質より努力の要素が大きいスポーツといわれている。

 箱根駅伝をテーマにした『風が強く吹いている』の作者、三浦しをんさんは取材でこう語った。「努力次第でタイムが伸びるのが駅伝の魅力。素質重視ではないんです」。公平かつ努力が武器の競技。駅伝の魅力は自転車にも通じると感じた。(小学館・1365円)戸津井康之

【関連記事】
「赤字拡大避けられず」花月園競輪、今年度で廃止
盗撮容疑で競輪選手逮捕「スリル感じたかった」
元Jリーガー・河野淳吾が競輪学校に入学
西武・菊池ぶっ倒れた!競輪トレで完全燃焼
海老根が初優勝 競輪のグランプリ09

【中医協】レセプト並み明細書の義務化拡大を了承(医療介護CBニュース)
<普天間移設>日米関係、危機的状況ではない 米国防次官補(毎日新聞)
政権運営通じ信頼回復=鳩山首相(時事通信)
前副知事「わいろの認識ない」=福岡県町村会汚職で弁護人(時事通信)
<天皇、皇后両陛下>メキシコ大統領夫妻と会見(毎日新聞)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。